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2027年蛍光灯の製造中止問題

2027年蛍光灯の製造中止問題

 2024年12月24日、政府は全ての一般照明用蛍光灯の製造と輸出入を2027年末で禁止する政令改正を閣議決定しました。これは、2023年に開催された「水銀に関する水俣条約」の第5回締約国会議において、一般照明用の蛍光ランプの製造と輸出入を2027年末までに禁止することが決定されたことに起因するものです。今後国内でも、蛍光灯の種類に応じて段階的に禁止されていき、水銀が含まれるボタン電池なども禁止の対象となる見込みです。政令は2026年1月から順次施行される予定となっています。今回は、この蛍光灯の製造中止問題について取り上げていきます。


1.蛍光灯の製造中止の背景
 蛍光灯の製造中止は、環境保護と健康リスクの低減を目的とした国際的な取り組みの一環として採択されたものです。蛍光灯には微量の水銀が含まれており、水銀は環境や人間の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。水俣病の原因物質でもあり、神経系に深刻な障害を引き起こすことがあります。水銀は自然環境中で分解されにくく、蓄積されると生態系に悪影響を及ぼすため、国際的な規制が求められています。

2.水銀に関する水俣条約
 この問題に対処するため、国際連合環境計画(UNEP)は「水銀に関する水俣条約」を制定しました。この、「水銀に関する水俣条約(Minamata Convention on Mercury)」は、水銀および水銀化合物の人為的な排出および放出から人の健康および環境を保護することを目的としており、地球規模での水銀汚染を防止し、人の健康と環境を保護するための重要な国際条約です。2013年10月に熊本市で開催された外交会議で採択され、2017年8月16日に発効しました。水銀の使用を段階的に廃止していくことを目指しており、2023年に開催された第5回締約国会議では、一般照明用の蛍光ランプの製造と輸出入を2027年末までに禁止することが決定されました。
 この条約は、水銀の一次採掘の禁止から貿易、水銀添加製品や製造工程での水銀利用、大気への排出や水・土壌への放出、水銀廃棄物に至るまで、水銀が人の健康や環境に与えるリスクを低減するための包括的な規制を定めています。具体的には、以下のような規制が含まれます。

・水銀の一次採掘の禁止
・水銀添加製品の製造と輸出入の規制
・水銀を使用する製造工程の規制
・大気への水銀排出の規制
・水銀廃棄物の管理

 また、日本は水俣病の教訓を踏まえ、条約の採択と実施に積極的に関与しており、途上国支援や水俣発の情報発信を行う「MOYAIイニシアティブ」を通じて、国際的な水銀対策を推進しています。

3.蛍光灯の製造中止の影響
 蛍光灯の製造中止により、既存の蛍光灯の交換や修理が困難になることが予想されます。特に、オフィスや店舗などで使用されている蛍光灯の多くは、国家資格を持つ作業員による交換が必要となるため、人手不足が深刻化する可能性があります。また、蛍光灯の在庫が減少することで、価格が上昇する可能性もあります。

4.LED照明への移行
 蛍光灯の製造中止に伴い、LED照明への移行が推奨されています。LED照明は、蛍光灯に比べて消費電力が少なく、寿命も長いため、ランニングコストの削減に寄与します。また、LED照明には水銀が含まれていないため、環境への負荷も少ないです。さらに、LED照明は瞬時に点灯し、調光機能も備えているため、さまざまな用途に対応できます。初期費用は高いものの、長期的には運用コストが大幅に削減されるため、コスト削減と環境保護を同時に実現できると期待されています。

5.想定される影響について
①中小企業への影響と対策
 中小企業にとって、蛍光灯の製造中止は大きな影響を及ぼす可能性があります。特に、オフィスや工場で使用されている蛍光灯の交換が必要となるため、早めの対策が求められます。LED照明への切り替えには、補助金や助成金制度を活用することが推奨されます。政府や地方自治体は、LED照明への移行を支援するための補助金や助成金を提供しており、これを活用することでコストを抑えることができます。

②照明業界への影響
 蛍光灯の製造中止は、照明業界全体にも大きな影響を与えます。蛍光灯の製造を行っていた企業は、LED照明の製造にシフトする必要があります。これに伴い、製造設備の更新や従業員の再教育が必要となるため、初期投資がかかることが予想されます。しかし、長期的にはLED照明の需要が増加するため、業界全体の成長が期待されます。

③環境への影響
 蛍光灯の製造中止は、環境保護に大きく貢献します。水銀の使用が減少することで、環境中の水銀汚染が軽減され、生態系への悪影響が減少します。また、LED照明の普及により、エネルギー消費が削減され、温室効果ガスの排出量も減少します。これにより、地球温暖化の進行を抑制する効果が期待されます。


 以上、蛍光灯の中止問題についてまとめました。環境保護とエネルギー効率の向上、健康リスクの低減に寄与することが期待される重要な取り組みですが、さまざまな業界で影響が出ることも想定されています。物流業界でも同様で、最新の物流施設では竣工時からLED照明となっている施設も見受けられますが、大半の倉庫や工場では、今後LED照明へのスライドが必要となってきます。補助金や助成金制度があるので、それらをうまく活用し、早めの対策が求められています。LED照明への移行を進めることは、持続可能な社会の実現に貢献することに繋がります。

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